年末調整を恐れるな!これだけは押さえたい今年のポイントとは? 年末調整シリーズ(1)

人事の一大イベント「年末調整」

師匠も走る年末が近づいてきました。今年も年末調整がやってきます。私も毎年悪戦苦闘しておりますが、今年は昨年と比較してより注意が必要な点も多く、繊細な対応が必要となってきます。
「まだ法改正を確認できていない!」「そもそも年末調整自体がよくわかっていない…」 そんな方へ、年末調整の流れや今年の法改正対応事項をまとめましたので、ぜひご一読ください。

今回は ◇そもそも年末調整とは? ◇年末調整の大まかな流れ ◇今年特別に注意が必要なポイント こちらの3点についてまとめてみました。

 

そもそも年末調整とは?

会社など給与の支払者は、役員又は使用人に対して給与を支払う際に所得税及び復興特別所得税の源泉徴収を行っています。しかし、その年1年間に給与から源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税の合計額は、必ずしもその人が1年間に納めるべき税額とはなりません。このため、1年間に源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税の合計額と1年間に納めるべき所得税及び復興特別所得税額を一致させる必要があります。この手続を年末調整といいます。

要は「各月の給与でだいたいの金額を控除している所得税について、年間を通じて控除金額を最後にまとめ、過不足を調整する」手続きのことです。

 

年末調整を行ううえでまず押さえるべき点としては3点あります。まず、各月の給与や賞与で引いている所得税は、おおよそ正しいが実は正確ではないこと。次に、所得税は12/31時点の税法上の扶養人数など様々な事項が確定しないと正しい金額を算出することができないこと。最後に、年末調整は「お金が戻ってくる手続き」ではなく、正しい所得税を計算する手続きであるため、人によってはさらに所得税が徴収されることです。(最後を理解しているか否かで年末調整を知っているか否かの指標になるのでは…と私はひそかに思っています)

 

年末調整の大まかな流れ

年末調整の仕組みがわかったところで、実際に手を動かすためには、どの書類をどのように確認し、どんな状態へともっていくことがゴールとなるのか、全体の流れを知る必要があります。大まかに流れをまとめてみました。

1.書類を集める

まず、昨年の年末調整の際に回収した 給与所得者の扶養控除等申告書 を返却し、今年の12/31時点の状況と合致しているかを確認してもらいます。修正が必要な場合はそれも対応してもらい、併せて 配偶者特別控除申告書・保険料申告書も配布します。書類は全て回収し、その際、 保険会社からこの時期に発行される 保険料控除証明書 を添付してもらうことも忘れずに行います。住宅借入金等特別控除を受ける方にはその書類も準備してもらう必要があります。

2.年税額の計算

まず、H29年1~12月に支給した給与の総額を個人ごとに計算し、給与所得控除後の給与金額を求めます。また、提出された保険料申告書に基づいた各種保険料控除額、扶養控除等申告書に基づいた扶養控除等の控除額を計算します。ここで配偶者特別控除額も計算します。

上記で求めた給与所得控除後の給与額から、各種保険料控除額・扶養控除等の控除額の合計額・配偶者特別控除額 を控除し、課税給与所得金額」を求めます。この金額を「年末調整のための所得税額の速算表」に当てはめ、「算出年税額」を計算します。住宅借入金等特別控除の適用を受ける方は、この段階で算出年税額から、住宅借入金等特別控除額を控除して「年調年税額」を求めます。(住宅借入金等特別控除額がない人は、算出年税額が年調年税額となります。)

年調年税額と本人の給料や賞与から控除した源泉所得税の合計額とを比べ、過不足額の精算をします。源泉所得税の合計額が年調年税額より多ければ、差額は本人に還付され、少なければ不足額を本人から徴収することになります。

3.市区町村・税務署への申告

計算が終了し、従業員へ源泉徴収票を配布しますが、その後市区町村へ同様の様式の「給与支払報告書」を提出します。市区町村ごとに提出対象者をまとめ「給与支払報告書総括表」を添付し1月末までに送付します。

税務署へは「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」を提出することで申告を行います。この書類を作成する情報は、給与計算システムで集計・出力することができる場合がほとんどです。

 

通常、申告書や保険料証明書の金額を確認し、給与計算システムに取り込めば計算が終了するということが多いかと思いますが、それを手で計算することも勿論できます。

そこで使用するのが源泉徴収簿です。(国税庁HP『平成29年分給与所得・退職所得に対する源泉徴収簿(PDF)』)年末調整の計算をわかりやすくするため、作成された書式のことで、これに情報を記入し計算していけば年末調整を行うことができます。

 

今年 特別に注意が必要なポイント4点

今年も様々な変更・法改正に対応しながら処理を進める必要があります。そこで、押さえるべき4つのポイントをまとめてみました。

①給与所得控除額の改正に注意!

平成29年分の所得税の計算においては、給与収入が1,000万円を超えた場合の給与所得控除額として、220万円が上限となりました。

この改正に伴って「給与所得の源泉徴収税額表」「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」が改正されていますので、確認をしておく必要があります。

(平成29年1月1日以後に支払う給与等の源泉所得税は「平成29年分 源泉徴収税額表」を参照して計算していらっしゃるかと思います。給与計算システムを使って計算されている方はそのシステムに「平成29年分 源泉徴収税額表」の内容が反映されていること確認したうえで計算を行います。)

今回、平成29年分の年末調整の際には、「平成29年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」を使用して源泉所得税を計算することとなります。昨年のものと変更もありますので、同じものを使用することのないようにしましょう。

また、平成25年1月1日から平成49年12月31日までの間に生ずる所得に関して源泉所得税を徴収する際、復興特別所得税を併せて徴収し法定納期限までに源泉所得税とあわせて納付する必要がありますので、年末調整の際にも、復興特別所得税を含めた年税額を算出する必要があります。

②復興特別所得税の計算に注意!

年調年税額とは、年末調整によって確定した1年間に収めるべき所得税・復興特別所得税のことを指します。この年調年税額については、算出所得税額から住宅借入金等特別控除額を控除した後の税額(年調所得税額)に102.1%を乗じて算出します。

※このとき、古い源泉徴収簿や、復興特別所得税に対応していない給与計算システムを使用した際に、復興特別所得税が計算されていないということがないように注意が必要です。

③平成30年度の配偶者控除及び配偶者特別控除に関する改正

平成30年から、配偶者控除及び配偶者特別控除に関する改正が行われています。平成 30 年1月以降の毎月(日)の給与支払の際には、下記のように取り扱う必要がありますので十分注意が必要です。

◎ 配偶者控除・配偶者特別控除の控除額の改正

配偶者控除の控除額が改正され、世帯主の所得からの満額控除(38万円)が適用される配偶者の所得の上限が、103万円以下から150万円以下に引き上げられました。

また、これまでは給与所得者の合計所得金額に関する配偶者控除の制限はありませんでしたが、今回から給与所得者の合計所得金額が1,000 万円を超える場合には、配偶者控除の適用を受けることができないこととなりました。

配偶者特別控除の控除額も改正され、特に、配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額は、改正前の38 万円超 76 万円未満 から38 万円超 123 万円以下へと変更になりました。

これまで税・健康保険の両方の扶養に入っていた配偶者が、健康保険のみの扶養になるというケースも発生する可能性が大いにありますので、今回の扶養控除申告書の記載内容を細かく確認し、従業員本人に適切な案内を行う必要があります。

◎ 扶養親族数の算定方法の変更

給与等を支払う際に扶養親族等の数を算定したうえで源泉徴収額を計算していますが、その扶養親族等の数の算定に当たって、配偶者が源泉控除対象配偶者に該当する場合には、扶養親族等の数に 1 人を加えて計算することとなりました。

また、同一生計配偶者が障害者に該当する場合には、扶養親族等の数に1人を加えて計算することとなりました。

◎ 各申告書の様式変更

「給与所得者の配偶者特別控除申告書」が「給与所得者の配偶者控除等申告書」に改められます。

平成 30 年分の年末調整において配偶者控除又は配偶者特別控除の適用を受けようとする給与所得者から、申告書を提出する必要があります。また、他の申告書等についても記載事項の変更が行われる見込みですので、引き続き注意して確認していきましょう。

④給与支払事務所等の移転届出書に関する改正

「給与支払事務所等の移転届出書」について、移転後所在地の所轄税務署長への提出が不要となったことから、平成29年4月1日以後の移転に係る届出書については、移転前所在地の所轄税務署長へ提出すればよいこととなりました。

 

まとめ

私は 「システムがやるからいいや、と思ってはいけない」という教えを先輩から受けました。システムが急に壊れるような異常事態が発生しても、給与と年末調整はもちろん通常通り行う必要があります。仕組みを理解していれば怖くはありません。(よね?)

また、年末調整を恐れないためには、下準備だけでなく豊富な知識が必要です。「知らなかったから○○できていなかった」というのは通用しませんので、処理を進める中で不安に思う点があればすぐに確認しましょう。本を見ることももちろん解決の糸口となりますが、本当に困ってしまった場合は税務署の窓口に相談することも有効です。

 

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